音楽教育に関心あるママ・パパに、様々なケーススタディを提供する子育てエッセイ。親として音楽とどう向き合っていくべきか、そのスタンスについてのお話です。【娘とヴァイオリン】余談コンクール等経験させていると、楽屋では私達親子はアウェーな雰囲気になる事が多いです。同じ音楽教室同士の方々でお話しされていたり、ご挨拶を交わされていたりして、その様子が最初の頃は実に興味深かったりしました。 一流のヴァイオリニストにさせたいという思いのあるお母様には、「○○音楽教室」に行くべきとか、先生が誰であるとか、楽器はどんなものを使うべきか等々・・・生まれる前から色々リサーチをしてお子さんに取り組ませていらっしゃる方もいらっしゃる位なので、幼児教育の賜物的な部分はやはり存在します。ですが、たまたまコンクールに熱心な先生についたことにより才能が開花したお子さんも実際存在します。 我が家は私がソルフェージュ的な事の手ほどきをし、ヴァイオリンの導入は友人、小学校入学以降は私の母校で近くにある大学附属の音楽教室に通わせごく自然に音楽がある状況で、そこに競争心を煽る環境は全く無かったので、ゆったり取り組ませ過ぎていました。先出の‘コンクール挑戦’という出来事から意識改革が始まりました。その時すでに小1を終わろうとする頃だったので、正直遅かったな・・・と感じています。 幼少期から才能を開花させるためには、導入期の環境の置き方は大事です。適正に叶うお子さんが前向きに取り組み、潜在している能力を引き出してくださる先生の存在とサポートする家庭の様々なフォローは必須。すべてがそろうケースはあり得ないようでいて、叶っている子たちが小さい頃から頭角を現していると感じます。 そういう子達は、お母様方のサポートや努力も素晴らしいですが、本人達の目標や目的意識、集中力も優れていて3~4時間の練習は当たり前、休日は6~8時間練習も厭わないという世界です。ウィーンでは、留学しているお子さんとも出会いました。日本にご家族を残して、お母さんと御兄弟で住まわれているそうですが、本人が本気でヴァイオリニストになりたいという気持ちと周りの理解があってこその形ですね。 チェンコフスキー先生も、小さい頃はお父様から厳しく手解きを受けたそうです。 ヴァイオリンで一流の演奏家になりたいという志を持った人は、いばらの道を歩む覚悟で日々鍛錬してゆかねばならないのだと改めて感じます。(多分、ヴァイオリンに限った事ではなく、ほかの楽器に関しても同じことが言えるでしょうね。)・・・そして我が家の娘は・・・「ヴァイオリンは好きだけど、自分のペースで頑張りたい。」「合奏や合唱はねぇ、一緒に合わせてると凄いんだ、宇宙みたいなんだよ!」・・・と言う具合で、競争心や向上心などは全く見られません(苦笑)。 いつか演奏家として歩いて行ける大器晩成型を信じて見守るべきか、基礎をしっかり学んで良いヴァイオリンの先生になる為に頑張りましょうと育てるか・・・どちらでも良いのですが、成長と共に音楽を深く感じ取る事が出来、自分の演奏を表現でき、良い意味で影響力のある人になってもらいたいです。