楽器の演奏方法を習得するのではなく、音楽での自己表現の方法を学ぶ、ソルフェージュのススメ。音楽教育に関心あるママ・パパに、様々なケーススタディを提供する子育てエッセイ。【音楽に興味を持ったら…何を始める?~ソルフェージュのススメ】 もし、音楽は好きだけど、何をやらせたら・・・と漠然としている方いませんか?それで、何となく億劫になってしまったり、時期を逃してしまったりという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ヴァイオリンのような楽器は、分数楽器という小さな楽器が存在し、音はフルサイズのそれより劣るせよ、幼少から楽器を弾くことが出来、成長と共に持ち替えてゆく事が出来ますが、ピアノや管楽器全般(フルートもU字管と呼ばれる楽器が存在しますが、実際ある程度大きくなってからが望ましいような気がします。)は、体の大きさが伴ってはじめて色々音が出せる楽器だと思います。 私の個人的意見としては、お子さんが小さいうちは直ぐにコレだ!と決めたりせず、先ずは音楽を体感しながら表現する事を伸ばしてあげて欲しいと思います。その期間の中でどんな楽器を取り組みたいかイメージ出来ると素敵ですね! では、小さい時に先ず何を始めたら良い?と聞かれた場合、私はズバリ「ソルフェージュ」と答えます。フランス語で、西洋の学習において楽譜を読むことを中心とした基礎訓練のことを指します。(類義語にリトミックがあり、どちらも広い意味においては音楽を学ぶ者すべてがその専門にかかわらず修めるべき基礎訓練全般を指します。リトミックは体の動きと音とを結びつけたリズムを中心とした訓練を指すのに対し、ソルフェージュは楽譜を中心とした音楽理論を実際の音に結びつける訓練を指します。)何も難しくとらえる事はありません。音楽の3要素であるリズム・メロディー・ハーモニーを感じられるような体験:歌を歌ったり、リズムに合わせたり、感じたりしながら体を動かしたり、皆で合唱をしたり…幼稚園で見られるような光景そのものです。ただ、例えばト音記号の書き方を学んだり、曲に取りかかる時に楽譜を見ながらいわゆる‘音楽のレッスン’的に教わったりはしませんので、そういった音楽的指導が薄くなる部分をフォローしてあげる事が必要です。実は、そういった事を巧く抑える事が出来れば、ソルフェージュの素養は誰にでも身に付いてゆくと感じます。(=ママでも先生になれちゃいます!)実際、私の体験した2つのエピソードをお知らせしましょう。1.娘たちの通っていた幼稚園にはリトミックの専門の先生からの指導を受ける事が出来ました。お遊戯的な動きの中にちゃんと目的がある事は指導成果を披露して下さる場面でも明確に判り、とても感心させられました。それぞれの拍を感じる動き(全音符・2分音符・四分音符・八分音符)を取らせたり、体で表現させたり、大きな声で歌いながら歌詞と動きを連動させたり、(強弱を含む)曲想に合った歌い方をさせたりしていました。年長さんの発表では、結構な長さの発表をすべての子が取りこぼすことなく出来ていた事も目を見張るものがありました。・・・これらは、楽器を演奏するものとしてとても大事な要素。そして、上記のとおり、子ども達のほとんどが身に付けられる事。決して特別なことではありません。また、小さい時にきちんと体に取り入れている事で、どんな楽器にも応用が利くと感じました。2.子ども達は、私が演奏や指導領域で活動もしている事もあり、日々の練習や、一緒に歌を歌ったりする事も多々ありました。次女が年少の頃からは市民ミュージカルなどにも参加し、姉妹揃って毎年のように参加していました。 その結果、無意識のうちに音楽の3要素に関わっている生活を送る事が出来たので、某音楽教室に毎週通ったりすることが無くても、人前で歌いながら表現したりすることを臆することなく出来るようになり、童謡などのレパートリーも増え、古き良き時代の日本の姿を歌詞から知る事が出来ました。さらには、長女は楽器に感情を乗せて音色を表現できる事を知り、次女は曲から感じるもので自由に体で表現できるようになりました。最近では、コーラスでハモるという事にもこだわりを持ってくれているようです。・・・それぞれの感性の中に、表現欲求の芽生え、価値観の確立、成長が少しずつみられますし、それぞれの段階で判断ができるようになったことも、自分らしさの追求、個性を示してゆけることに繋がると思います。これらの事は、他の学びにも生かされていく事と思いますので、これからも見守っていきたいです。話は変わりますが、つい最近クリスマスイベントで子ども達を舞台に乗せるお仕事を頂きました。クリスマス曲のリクエストなのですが、ミュージカル経験者を前面に出すので、台本を作成し、簡単なステージにしようと思っています。まとまった数の子ども達を舞台に乗せるわけですが、募集条件は、経験不問、やる気のある小~中学生としました。入り口は様々ですから、このような経験がきっかけになる事もあるだろうと思うと、手を抜けませんし、チャレンジする事で成長してもらいたいと思っています。初めての経験の子は、先ず音楽や表現の楽しさを体感してもらえたら嬉しいです。経験者は、お客さんが自分たちの舞台をどう感じ、どう反応していただけるかも感じられる経験であってほしいと思います。日本人は、欧米の方と違って、気持ちや感情を表に出すことを得意とする人は多くないように思います。その部分も含めて私は変えていきたいですし、表現したいという欲求が楽器の導入の時にあると実はスムーズにいきます。(さらにイメージが出来る子は、その後の成長が大きく違います。)幼稚園の間は特に、いつ始めても十分遅くありません。それ以降も、それぞれの欲求に叶う目標に沿って学んでいけるでしょう。焦らず身の回りにある‘手軽に出来る経験’から、お子さんとコミュニケーションを取り、ご家庭で聞こえてきたい楽器は何かなぁ~とイメージしながら選択されたら如何でしょうか?(何かを迷っている時って真剣にもなりますが、案外楽しかったりしますよね?)そして、「この楽器やってみたいなぁ~」と言う声が聞こえてきたら、しめたものです!☆最後に1つお願い:習い始めさせてからも、迷っていた時と同じように興味を持ち続けてあげて下さい。見守っていてくれる「目」は、どんな時点でもお子さんの場合1番の関心事です。