パリ郊外で仏人のパパ、日仏ハーフの息子・アルチュールくんと3人で暮らす順子さん。アルくんの舞台出演を通じて、日本とフランスの子育て、教育に対する価値観の違いなど、様々な思いを綴っていただきます。演劇という自己表現を通じて、アルくんはどんな風に成長したのかな?*******************************はじめに一ヶ月の公演が終わり、「息子さんの舞台出演までの過程をコラムにしてみませんか」とのお話をいただきました。全くテアトルで演じるなど興味がなかった8歳の内気な息子がパリの劇場舞台に立ちました。テアトルはメーテルリンク作の「"Intérieur" 室内(1894年)」という古典劇。 生と死の共存、沈黙というテーマの中で幸せの象徴の子供を演じる役。台詞がなく、動作と沈黙で感情を表現するとても難しい役です。オーディションからの5ヶ月の記憶を追い、ラストのステージに立つまで、子供の心の様子と親の期待をコラムでお届けします。全て終わった今、もう一度やってみたいかと訊ねると、ノンと答えるけれど、この子が大きくなった時、あの時のどこかでやり遂げた感を少しでも思い出して自分の自信へと繋げてほしいと思っています。息子に素晴らしい経験を授けてくれた沢山の皆さんとフランスの芸術の懐に感謝します。はじまり2014年 5月「秋の演劇フェスティバル公演に出演してくれる子役を探しています。台詞はありません。」エッフェル塔目の前にそびえ立つ「パリ日本文化会館」のプレスの知人より、お知らせを頂きました。条件○日本国籍の男の子○7歳〜8歳○120センチ前後○日本語と仏語理解できること。メールの依頼から子役探しに時間は掛けられないとのことだったので、とりいそぎ知人にPCにあった適当な写真を送ってみることにしました。第2回へつづく*********************************************筆者プロフィール:エルンスト順子フランス在住9年目。欧州ビジネスコーディネータ。企業の営業推進部、国際輸出入業務を経て、現在、欧州市場進出、企業の市場開拓ビジネスに携わる。最近の大きな関心事は、「10年後に子供にどのようになっていて欲しいのか」日本語の勉強方法、モチベーション維持、楽しく学習する環境など、同じ境遇の日仏家族と語り合う。思春期までもうちょっと。今は子供との貴重な時間を優先している。