パリ郊外で仏人のパパ、日仏ハーフの息子・アルチュールくんと3人で暮らす順子さん。アルくんの舞台出演を通じて、日本とフランスの子育て、教育に対する価値観の違いなど、様々な思いを綴っていただきます。写真や書類選考から、いよいよ面接、そしてオファーが!知らない間に舞台への道を歩き始めたアルくん、ママンはどう寄り添うのでしょうか?*********************************************************<1通のメール>「息子さんに至急明日会いたいのですが。。」写真を送った翌日、舞台製作側の人からオーデションとして息子さんに会いたい、明日か明後日で都合をつけてほしい」とやや急な依頼。翌日パリのカフェで待ち合わせ。60分、じっとしていられるかどうかを、制作側の方はこの時の息子の態度をよくみていたんだと思う。ゲームも本も持っていないまま、忍耐強くこの話に耳をすませていました。今から自分が置かれる状況がわかっていたかのように。そしてこの面談が決めてになりました。その晩、主人にはさらりと説明。なぜ息子が?? とありえない顔つき…ひととおり説明して終了。まあいい。さて、肝心な息子にはなんて説明しよう…。「今度演劇にでるんだよ」「演劇ってなあに?」「テアトルってわかる?」 「学校のクリスマス会でみたやつ?スペクタクル?僕見たい!!」うーん…。「夏休みが終わってフランスに戻ったら、秋にパリでテアトルのフェスティバルがあるの。日本語とフランス語がわかる8歳の男の子を探していて、昨日のムッシューがアルに出てほしいと言っているんだけど、どう思う?」「えっ?なんで僕が??」本人は全く興味がなさそうだし、どうして自分が出なきゃならないのか、さっぱり分かりません…と言った感じ。息子との交渉が始まり、そしてこのあとすぐに、パリフェスティバルドトンヌ(秋の演劇フェスティバル)より、正式な演劇出演依頼がありました。つづく***************************************************筆者プロフィール:エルンスト順子フランス在住9年目。欧州ビジネスコーディネータ。企業の営業推進部、国際輸出入業務を経て、現在、欧州市場進出、企業の市場開拓ビジネスに携わる。最近の大きな関心事は、「10年後に子供にどのようになっていて欲しいのか」日本語の勉強方法、モチベーション維持、楽しく学習する環境など、同じ境遇の日仏家族と語り合う。思春期までもうちょっと。今は子供との貴重な時間を優先している。