音楽を通じての親子のコミュニケーションを模索する大人気シリーズ。音楽教育に関心あるママ・パパに、様々なケーススタディを提供する子育てエッセイです。【舞台を創る!最近の活動について】現在、私が関わっている活動についてお話ししたいと思います。年少から中2まで、男女合わせて17名の子ども達が、みなとみらい某所特設ステージで行われるクリスマスイベントに向けて稽古に励んでいます。私達に与えられた時間は約2時間のレッスン×3日(毎週日曜日)、本番前のリハーサルというシンプルかつタイトなスケジュールです。約15分間、当初はクリスマスキャロルを歌うという程度の依頼だったのですが、ミュージカルの子供たちを出演させるという事でただ合唱団のように歌わせるだけではつまらないと思い、色々考えました。 予算等の都合で、衣装さんの協力のみという状況下、私はこれまでの経験をもとに、手探りではありますが、台本を作成し、曲目と全体のステージングを考え、歌唱指導と当日演奏を一手に引き受け、参加者には初めての子でも1回は台詞を出す経験が出来るように構成し、見に来られたお客様には、ミュージカル様のステージを感じてもらえるように工夫してみました。(ちなみに、音響さんはいらっしゃるものの、イベント会場のステージにつき、照明は入れられないのと、ステージ自体も大きくないので出来る事は限られています。) 実際のレッスンですが、歌唱指導は時間通りに行くものの、入念に準備・イメージして挑んだつもりでも、慣れていない事はやはり時間がかかりますね・・・振付けや、ステージングは私にとって初めての経験。そういう時は、子ども達の声や協力を貰いながら一緒に解決しています。中でも、慣れている子たちは反応も良く、色々助けてくれます。言葉を出したり、私の思う事を汲み取って動いてくれたり、色々な‘間’を埋めようとしてくれます。初めての子たちは台詞を出すタイミングがおぼつかないながらも、一生懸命取り組んでくれようとするので、とても励みになります。(ともすれば、普通に受けるレッスンでは受け身になりがちな子ども達も、協力をしようとする気持ちで前向きに取り組んでくれていると感じます。) 私自身指導する者として、指示の出し方の大切さを日々感じています。効率よく進めてゆくためにも的確に示さねばなりませんし、やる気を削いでしまうような言動や態度は時間を浪費してしまうだけなので、いかに楽しく濃く進めてゆくかも大事なポイント。指導する事の楽しさと難しさを感じる瞬間でもあります。残すところあと1回のレッスンで本番日を迎えてしまうので、頭を使って大事に時間を消化していきたいです。子ども達の振り写しやセリフを覚える早さは個人差がありますので、1人1人じっくり見てあげられる時間にも限界があります。レッスン時にそれぞれ録音・録画をしてもらい、家に持ち帰って毎日少しずつでも練習しましょうと促しながら進めています。ピアノの練習も何時間もまとめてやるより、1日15分でもいいから触りなさいという事と同じで、毎日継続して少しでも振り返る事によって定着し、忘れないようになります。1週間経て、2回目のレッスンの時には、初めて参加の年長さんもしっかり覚えてきてくれて感動至極でした。意欲の大きさと、毎日取り組んで下さったお母様のフォローにも感謝です。お子さんが何かをする時には、必ず保護者の方の協力は大なり小なり必要になってきます。協力的な気持ちで見守って下さっているだけでも、お子さんの気持ちも安定し、練習に意欲的に取り組めるようになると感じます。(多少面倒な事かもわかりませんが、忘れないでほしいポイントです。)・・・とにもかくにも、あと少しで本番を迎えます。子ども達が本番間近の緊張で真っ白にならないようなフォローもしてゆきたいと思っています。限られた残りわずかの期間は、本番を意識した練習を促そうと思っています。また、当日穴をあけてはなりませんので、この時期に体調を意識的に整えてゆく事も勉強なので、前回のレッスンでは、その練習と言う意味で、次のレッスンをお休みされる子は、本番出られませんと伝えました。体調万全に臨むことが出来て、しっかり覚えていれば、しっかり歌え、台詞も出せ、踊る事が出来ます。また、その逆も言えて、気が落ちている子、集中できていない子がいるだけで、足を引っ張ってしまう事にもなります。 子ども達に学んでほしい事は、1人1人の頑張りは相乗効果を生んで、素敵なステージを作る事が出来るという事です。個人個人のともすれば何気ない取り組みかもしれないけれど、全体の活動を支えている基礎となっている事が理解できた時、おのずと助け合ってゆかねばならないという気持ちで臨めるようになってゆけると思います。今回、たった15分のステージを成し遂げるために、たくさんのプロセスをこなしてゆかねばならない子ども達ではありますが、その分成長できる経験になるだろうと確信します。 最近は、色々な地域で地元の話題を題材にしたミュージカルを催行するようになりました。参加費もお手軽な事が多いですので、興味をお持ちになった方は、お子さんが比較的習い事や勉強等で忙しくない3年生までの時期に1度このような活動に参加されてみても良いかもしれません。 キャストとして参加したら、最初の顔合わせから、台本読み、キャストオーディション、演技指導、歌唱指導、ダンス指導、衣装さんとのやり取り、本番の会場での舞台監督さんとのやり取りや照明さんが入ってからの経験、最後に本番を経験した後の達成感を経験する事が出来ますし、裏方で舞台を支えて下さる人たちのお仕事を見ることが出来るチャンスでもあります。経験を通じて地域を知ったり、地元の方とのコミュニケーションを取ることのできる機会にもなると思います。・・・子ども達のにこやかでいきいきした表情は癒しですね、元気を貰えると喜ばれるご年配の方がいらっしゃいます。子ども達の純粋に頑張る姿は、子ども達にとっても大事な経験となるわけですが、実は他の誰かに元気を与える起爆剤にもなるのだと実感しました。大きくいえば、地域の活性化にも繋がってゆけるのかもしれないと感じています。 指導する経験を通じて、様々な人たちに喜んでもらえる事は幸せな事だと感じる今日この頃。私自身も、1つ1つしっかり向き合いながら取り組んでいきたいと思っています。EduKidsボードメンバー:土屋友紀 プロフィール2児の母。年長よりピアノを始める。高校音楽科で作曲、大学で楽理を学び、大学院より声楽に転向し現在に至る。コーラスやミュージカル、ソロ歌唱指導や、ソプラノ歌手としての研鑽を積みながら活動中。2009年第24回全国童謡歌唱コンクール関東甲信越地区決勝大会最優秀賞受賞を機にTsucchy’s土屋ファミリーとして、家族で演奏活動を開始。昨年からは父含む親子4人で楽しく音楽を表現し、伝えてゆくことをモットーに活動している。これまでに横浜、福島、熊谷、東京、桑名、与論等、形態様々な演奏会に出演。メンバーは、母(ピアノ・ソプラノ、作編曲)、長女(小6、ヴァイオリン・うた)、次女(小5、うた・トーク等)、父(ギター)。2013年4月 レインボータウンFM 'シンクロプラス'「未来の演奏家たち」コーナーにゲスト出演。http://youtu.be/eib3XEmcUxo2013年7月31日神奈川新聞欄掲載。(「歌で強める地域の絆」 中区・土屋ファミリー)横浜市・中区地域福祉保健計画テーマソング「中なかいいネ!」ファミリー歌唱。CD一斉配布中。(参考:http://www.city.yokohama....y/iine-plan/info.htm<Facebookページ>https://www.facebook.com/Tsucchys