パリ郊外で仏人のパパ、日仏ハーフの息子・アルチュールくんと3人で暮らす順子さん。アルくんの舞台出演を通じて、日本とフランスの子育て、教育に対する価値観の違いなど、様々な思いを綴っていただきます。夏の間の日本滞在から帰国し、舞台出演に向けて様々なステップが踏まれます。まずはメディカルチェック!フランスに戻ってきて。8月末に約一ヶ月半の日本滞在から戻り、フランスでは新学期が始まりました。どんなに有意義なバカンスを過ごしたか、大人も子供もバカンスの思い出話で持ち切りです。私たちは新学期の慌ただしい中、気持ちを切り替えいよいよ始まる演劇フェスティバルの準備に追われていました。俳優専用のメディカルセンターに既にランデブーが取られており、帰国後すぐにパリ2区の指定診療所に行きました。ここは役者専用ということで大抵の子役の子は自ら役者志願の子であり、テキパキと自分の役について語る子ばかり。。息子に先生のひっきりなしの質問が続きます。「どんな役柄なの?」「台詞はあるの?」「え?寝るだけなの?」マリオネットの役??それにしてもこの子はまったくやる気がないわね…女医さんの心の声が聞こえそうです。1時間30分ほぼ寝るだけ、台詞がないって、一体どんな芝居なのかしら??と彼女も混乱ぎみの様子だったので、持ってきた仏語のパンフを渡し、ようやくメーテルリンクの古典劇を理解してもらいました。「ふんふん…わかったわ。寝るだけなんて大変な役目ね…それで舞台にあなたは出たいのかしら?」「うーん…出たくない」…。身長128センチ、体重26キロ、8歳の健康診断は無事通過。さぁ、次のステップです。筆者プロフィール:エルンスト順子フランス在住9年目。欧州ビジネスコーディネータ。企業の営業推進部、国際輸出入業務を経て、現在、欧州市場進出、企業の市場開拓ビジネスに携わる。最近の大きな関心事は、「10年後に子供にどのようになっていて欲しいのか」日本語の勉強方法、モチベーション維持、楽しく学習する環境など、同じ境遇の日仏家族と語り合う。思春期までもうちょっと。今は子供との貴重な時間を優先している。