小川先生の大好評連載、「国語の学習で絶対に欠かせないこと」シリーズ第8回。シリーズを読み続けていくことで、国語を学ぶということに対する考え方が変わるかも。子どもが「読んでも意味が分からない!」という時に、彼らの頭の中で何が起こっているのかを考察してみます。****************************************さて、「国語の学習で絶対に欠かせないこと」今日は第8回目ですね。前回の論説文の読み方ポイント3『対比と上手く付き合う』について、続きのお話しをしていきます。論説文は、筆者が自分の意見を読者に伝えようとするのですから、当然この対比が多用されます。すると困ったことが起きるのですね。筆者としては読者に伝わりやすくする意図で対比を使っています。ところが、読み手にとってあまり馴染みのない話題の文章で、これまた馴染みのない事柄が対比相手に登場することがあります。読んでいる側としては、イメージが上手くわかない話題Aで首をひねっている時に、またよく分からない話題Bが出てくることになります。すると、「色々な話が出てきて、何の話をしているのか良く分かんない!」ということになってしまいます。お子さんが、こういった悩みを口にした時は、「もっとちゃんと読みなさい!」で終わらせちゃ可哀そうですよ(笑)対比を読み取るための基礎知識をお子さんが持っているかどうか、確認してあげてください。特に気をつけたいのが、「一つ一つの言葉は見たことがあるけれど、お互いの関係までは分かっていない」ケースです。例えば、「自然」と「人間」。小学4年生以上で、「自然」という言葉を知らない子はあまりいません。「人間」という言葉を知らない子もほとんどいないでしょう。しかし、「自然」と「人間の活動」とは対立的な位置関係で理解される。ということを知らない子はたくさんいます。近代以降の価値観は、西欧の考え方が影響しているため、「自然」と「人間」は対比されるのですね。でもそんなことを知らない子は、「人間も生き物なんだから、自然の一部でしょ?」と考えます。何も間違っていません。その通りです。社会的なお約束ごと(社会的価値観)を知らなかっただけです。ただ、そんな子が次の文を読むとどうなるでしょう。『縄文人は多様な自然の恵みを利用していた。しかし、ひとつのものだけに固執して、自然の生態系を壊すようなことはしていない。』(東大寺学園中学入試より)「縄文人ってそうだったんだ」と思うことはあっても、「その縄文人とは違って、 現代の人間は自然の生態系を壊しているんだな」と読み取ることは難しいでしょう。「現代の人間のことなんて、どこにも書いてない!」と怒り出すかもしれません(笑)しかし筆者の側では、自然についての話題を出した時点で、現代の人間について話すことが予定しているのが普通です。「縄文人は」と書きだした時点で、「それに比べて現代の人間は~」と読者が意識しながら読み進めることを期待しています。 自然⇔人間これは、『お約束ごと』なのですね。お約束ごとなので、知識として知っておく必要があります。 自然⇔人間 建設⇔破壊 精神⇔物質 部分⇔全体 積極的⇔消極的 時間⇔空間 垂直⇔水平といった、対比される言葉の組み合わせを知る。すると、自然の話の後に人間社会の話が続くのを見て、「裏表の関係をていねいに説明してくれているんだな」と思えるようになります。「話がころころ変わって何が言いたいか分からない!」とはならずに済みます。【対義語】・【対となる語句】の知識を増やせば、論説文の読み方が上達する、と言ってもいいでしょう。対比についてはもう少し触れたいことがあるので、次回はこの続きから始めます。・出典:http://ss1ogawa.exblog.jp/18588235/・EduKidsブレーンご紹介:http://edukids.rvlvr.co/wf/contents/16779602