子どもの習い事に対する考え方、各家庭それぞれだと思いますが、改めてその意義を見つめ直してみましょう。音楽教育に関心あるママ・パパに、様々なケーススタディを提供する子育てエッセイ。今回は、それぞれの考え方、ライフスタイルに合わせたピアノの選び方について。【よくある質問:楽器選びについてその①ピアノ編】 前回は、脳科学者の澤口俊之先生のインタビューを引用する形でお届けしました。おさらいになりますが、HQとは、“人間らしい人生を送るための脳力”のことで、夢や目的に向かって適切に行動する能力“未来志向的行動力”と、理性・思いやり・協調性を身に付けてうまく生きる能力“社会関係力”という事でした。 HQの向上によって、夢の実現や社会的成功、良好な恋愛や結婚生活、さらには運動能力や器用さ、言語能力、IQの向上にも繋がり、その能力を高めるためにはピアノが良いとされているという事で、とても興味深い内容でした。今習っていない方も、習っている方も、ピアノをさせたらどうなのかという、効果というものについて、考えた事はあまりなかったと思いますので、色々と参考になられたのではないでしょうか。 ピアノに限らず、楽譜を目で追いかけて、手首と平行に指を動かすわけでは無いですが、他の楽器に関しても、重なってくる部分があるのではと思います。 さて、楽器を習いたいと思われている方の為に、楽器選びについて少しお話しが出来たらと思います。今回は、ピアノに関してお話しさせて頂きます。最初からお持ちの場合はともかくとして、もしお子さんが始めるからという事でご検討の場合は、お住まい形態と予算にもよりますが、先ずは無理が無いように電子ピアノをお勧めしています。というのも、夜にはヘッドホンを付けての練習も可能ですし、何より場所を取りません。ただし、鍵盤が軽いプラスチックのものはNGです。指のトレーニングが出来ないからです。鍵盤はあくまでも木製であり、重みが感じ取れるものを選んでください。 また、キータッチやキーレスポンスにも機種ごとの特性がありますし、ペダル効果もまちまちですので、ピアノが弾ける人が一緒に行って感覚を話してくださると良いと思います。そしてペダルは、本体とくっついているタイプをお勧めします。また、持ち運びを考えた場合のキーボードタイプを購入する場合、時々76鍵がありますので、間違えないようにして下さい(ピアノは88鍵です)。値段は、今は十分5~6万円からでも良いものがあります。YAMAHAやKAWAIじゃないといけないかと言うと、実は、KORGやCASHIO、ROLANDでも薄くて始めるには十分なモデルがあります。薄型でリビングにもなじむ・・・等、様々なデザインがありますので、ぜひ実物を目で見て検討していただけたらと思います。これらのピアノは、家電量販店の大規模店舗の楽器売り場でまとまった数に出会う事が出来ますので、おススメです。 少し上手になってきたり、場所や予算にゆとりのある方は、アップライトピアノやグランドピアノをお勧めします。グランドピアノはとっても場所を取るようなイメージがありますが、実は、2畳半もあれば十分に納まりますし、安定感が違います。(余談ですが、地震の際、アップライトピアノは転倒の心配がありますが、グランドピアノは車輪にゴムカバーが施されていたら、あまり心配がありません。) 予算にゆとりのある方で新品のアップライトを検討するのならば、お子さんのやる気にもよりますが、断然中古で状態の良いグランドピアノをお勧めします。何故かというと、アップライトピアノとグランドピアノのアクション(打鍵の内部構造)やペダル構造がそもそも違うからです。PP(ピアニッシモ)を表現したい、トレモロを弾きたい、弱音ペダルでニュアンスを出したいといった場合に大きく変わってきますし、ピアノの機種にもよりますが、響きの構造が大きく違います。 ピアノ科専攻、もしくは専門的に勉強したいという場合には少なくともYAMAHAの場合はC3クラス以上をお勧めします。また、好みや予算の兼ね合いもあると思いますので、日本で手に入りやすい楽器の有名な会社のWebページをあげておきます。グランドピアノの紹介や、楽器の構造、こだわりなどを知る事が出来、面白いです。◆YAMAHA http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/keyboards/about/gp/#gp◆KAWAI http://www.kawai.co.jp/piano/◆松尾楽器商会(スタインウェイや、ボストンピアノなど) http://www.h-matsuo.co.jp/・・・私自身も、中学音楽コースにピアノ科で入学し中3の時に引っ越すついでに母がグランドピアノを新調してくれましたが、ピアノの先生とも相談し、YAMAHAC3Eを選び、20年以上たった現在も調律師さんに状態も含めてみてもらっていますが、不具合も起きず健在です。知り合いの楽器屋さんの方に、浜松まで出かけてもらい3台のうちの1台を選んできてもらいました。フレームなどは手作業のみではありませんが、1台1台職人さんが作っていますので、楽器に個性があります。 発表会やコンクール、演奏会等で弾くピアノはその殆どがグランドピアノだと思いますので、普段から慣れておくという事も大事なことかもしれません。 弾いていて感じるアップライトピアノと率直に違う事は、包み込んでくれるような芳醇な音量です。音量の表現できる幅も違う気がしますし、蓋を開けて弾くとそれは顕著に表れます。和音の響きなども、全く似て非なるものです。演奏家になる、ならないはさておきとして、純粋に弾いて音楽を楽しむといった場合の満足度も違ってくると思います。とは言え、新品で買おうものなら、正直な話、車1台分です。よほどの決意が無くてはご縁が無い代物かもしれません。ただ、演奏家を目指したいお子さんや、音楽愛好家の方であれば、一生かけて楽しめるわけですから、調律を年に1~2回する手間こそありますが、通電させる事もないので電気代はかかりませんし、よっぽどの事でない限り故障で音が出ない事もありません。数十年のお買い物をする事を考えた時には物凄く高いお買い物という訳ではないという事になります。 さて、ピアノ選びの事について色々お話ししてまいりました。昨今は、ハイブリッドピアノなるものも出てきて色々進化もみられます。ご自身のライフスタイルに合わせて、ご縁があるならば、気に入った1台を見つけて、触れてみる事も素敵だと思います。少しだけ思い描いてみては如何でしょうか・・・お子さんのみならず、大人も習いたくなってしまうかも?!EduKidsボードメンバー:土屋友紀 プロフィール2児の母。年長よりピアノを始める。高校音楽科で作曲、大学で楽理を学び、大学院より声楽に転向し現在に至る。コーラスやミュージカル、ソロ歌唱指導や、ソプラノ歌手としての研鑽を積みながら活動中。2009年第24回全国童謡歌唱コンクール関東甲信越地区決勝大会最優秀賞受賞を機にTsucchy’s土屋ファミリーとして、家族で演奏活動を開始。昨年からは父含む親子4人で楽しく音楽を表現し、伝えてゆくことをモットーに活動している。これまでに横浜、福島、熊谷、東京、桑名、与論等、形態様々な演奏会に出演。メンバーは、母(ピアノ・ソプラノ、作編曲)、長女(小6、ヴァイオリン・うた)、次女(小5、うた・トーク等)、父(ギター)。2013年4月 レインボータウンFM 'シンクロプラス'「未来の演奏家たち」コーナーにゲスト出演。http://youtu.be/eib3XEmcUxo2013年7月31日神奈川新聞欄掲載。(「歌で強める地域の絆」 中区・土屋ファミリー)横浜市・中区地域福祉保健計画テーマソング「中なかいいネ!」ファミリー歌唱。CD一斉配布中。(参考:http://www.city.yokohama....y/iine-plan/info.htm<Facebookページ>https://www.facebook.com/Tsucchys