パリ郊外で仏人のパパ、日仏ハーフの息子・アルチュールくんと3人で暮らす順子さん。アルくんの舞台出演を通じて、日本とフランスの子育て、教育に対する価値観の違いなど、様々な思いを綴っていただきます。観客席は埋まり、衣装もつけたし、後は幕があがるのを待つばかり。母親として、観客として、子どもを信じて見守る以外には何も出来ないママの思いが伝わります。***********************そして幕はあがる***********************息子の初舞台は、フェスティバル始まってはじめての土曜の夜。客席満席。チケットは既に完売です。私は最前列の真ん中に席を頂き、子供の手足の動きも全部わかってしまう席に座りました。舞台には砂が引き詰められ、音一つない、闇の中から母と子がスロー再生のように、ゆっくりと歩いてきます。そして筋力を使いながら床に着くこと。終盤には、息子一人だけで寝ているシーンもあります。舞台には一人しかいませんから客席全員が息子の体の動きを見続けます。そして、静寂の中でお話は終わります。拍手喝采、幾度のカーテンコール。役者全員が揃い、一番真ん中で恥ずかしながらも挨拶ができた8才の我が子。初回舞台が終わった私の感激と安堵感は未だに忘れられない時間です。*******************************************************筆者プロフィール:エルンスト順子フランス在住9年目。欧州ビジネスコーディネータ。企業の営業推進部、国際輸出入業務を経て、現在、欧州市場進出、企業の市場開拓ビジネスに携わる。最近の大きな関心事は、「10年後に子供にどのようになっていて欲しいのか」日本語の勉強方法、モチベーション維持、楽しく学習する環境など、同じ境遇の日仏家族と語り合う。思春期までもうちょっと。今は子供との貴重な時間を優先している。