小川先生の大好評連載、「国語の学習で絶対に欠かせないこと」シリーズ第11回。具体例を正しく使いこなす方法です。論説文を攻略していくには、「具体例の使われ方を理解する」ことも大切です。ところがそもそも「具体例」とは何ぞや?というところがあやふやな子が多い。そこで、前回のエントリーでは、具体的とはどういうことかについてみていきました。続けて、「具体例」の「例」を考えてみましょう。「例」を大辞林で調べてみると、こんな説明がなされています。①相手に類推させるために、同種類の事柄の中からよりどころとして特に取り上げて提示するもの。②判断の基準やよりどころとなる過去の事柄。先例。ためし。(略)例とは、相手の人にとって、判断したり考えたりしやすくするためのものなんですね。さらに、まとまりの中から、代表的な1つのことを取りだして、示すというものです。「動物」というまとまりの中から、「爬虫類」を取りだして示す。「爬虫類」というまとまりの中から、「イグアナ」を取りだして示す。つまり、「具体的」にするということですね。ということは、「具体例」=「具体+具体的にすること」。「まとまりの中から、特に具体的なものを取り出して示すもの」なんですね。前回に説明した言葉を使って言いかえると、「具体例とは、まとまりの中から、絵がくっきりと思い浮かびやすいものを選んで説明したもの」となります。このことを理解すれば、具体例の使い方も分かってきますね。文章を読んでいて、内容がよく分からない箇所が出てきた時、近くに、分かりやすく言いかえた箇所(=具体例)がないかを探します。その具体例を読んで、絵をくっきりと思い浮かべます。絵を思い浮かべたままで、さっきのよく分からない箇所(まとめ部分)をもう一度読みます。頭の中で、具体例の絵とまとめ部分とを重ね合わせるようにします。例えば、『隣人の顔が見えない都市化社会においては、社会的弱者の自尊心を尊重しつつ援助する心が求められる。電車内でも、老人専用の座席を作ることも良いが、声をかけ合う関係でありたい。「おかけになりませんか」と若者が自分の席を譲ろうとする、老人は「ありがとう」と座ることもあるだろうが、時には「もうすぐなので結構ですよ、ありがとう」と断るかもしれない。その時に「そうですか、でももしお疲れになったらおっしゃってくださいね」と心づかいができるかどうか。ご老人は自分の意思を受け入れてもらったという満足と、思いやりへの感謝を覚えることだろう。このような日常の何気ないやり取りが、都市のうるおいとなるのだ。』という文章で、『社会的弱者の自尊心を尊重しつつ援助する心』が良く分からないとします。この時に、続きの具体例を読んで、老人に席を譲ろうとする若者やんわりと断る老人さらにねぎらう言葉をかける若者という映像を、頭の中に作るわけです。この映像を持ったまま、もう一度『社会的弱者の自尊心を尊重しつつ援助する心』を読んでみます。いかがでしょう。言葉の意味が実感を持って伝わってくる感覚が、ありませんか?このように、具体例の使い方を知ることで、論説文の内容理解はぐっと進むのですね。ぜひ試してみて下さい。・出典:http://ss1ogawa.exblog.jp/18885462/・EduKidsブレーンご紹介:http://edukids.rvlvr.co/wf/contents/16779602