小川先生の大好評連載、「国語の学習で絶対に欠かせないこと」シリーズ第12回。物語文の読み方、特に気持ちの読み取り方についてです。:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::本日は物語文について見ていきます。物語文を苦手にしているお子さんは、「気持ちの読み取りができない」と悩むことが多いですね。◆本をあまり読まない◆自分の感じたことを言葉にするのが苦手◆算数みたいにはっきりと答えが出ないから嫌い色々と理由はあるのでしょうが、私の指導経験から思うに、一番の原因は「気持ちの学び方を知らない」ということです。物語が苦手なお子さん、その保護者の方は、「自分が思った気持ちと違う」「何回読んでも気持ちが分からない」とおっしゃることが良くあります。どうやら、気持ちの学び方について、勘違いなさっているようです。受験国語においては、気持ちは考えるものではなく、「型」を学び、当てはめていくものだからです。別の言い方をすれば、「他人の気持ちを、自分勝手に想像して分かるはずがない」ということをまず認める。ここから気持ちの学習が始まるのです。日常生活に戻してみましょう。最近知り合ったばかりの友達がいるとします。その友達が、「あなたが今何を考えているかなんて、あなたを見ていたらすぐ分かるよ」と言いだしたら、どう感じますか?いやいやいや、それは無理でしょ。って思いません?もしかしたら当たるかもしれません。でも当たらないことの方が多いでしょうね。お友だちが、自分の気持ちの世界に当てはめて、あなたの気持ちを分かった気になっているだけです。ですよね?でも、そのお友だちと10年ぐらいの付き合いが続き、色々な場面で話し合ったり、気持ちをぶつけあったりと、深い歴史が生まれたとしましょう。すると、どうでしょう。「あなたが今何を考えているかなんて、あなたを見ていたらすぐ分かるよ」と言われても違和感がなくなるかもしれませんね。嬉しくなるかもしれない。確かに分かってくれていそう、という気持ちになれるから。なぜなら、お友だちとの関わりの積み重ねによって、たくさんの場面とその時の気持ちの記憶をお互いが持ちあうようになるからです。そして過去の記憶に照らした時に、「この表情でこの言葉を言う時は、だいたい悲しいことを隠しているんだよな」といったことが分かってくるのですね。お互いの気持ちの「型」が分かってくるのです。そして、受験国語で「気持ちを学ぶ」とは、人物関係と場面との関わり合いの中で、多くの場合に当てはまる気持ちの「型」を覚えていく作業なのです。こう断言すると何かと反発を受けることもあるのですが、入試の素材文は、主人公が小学生とは限りません。難関校の中学入試問題では、高校生が主人公の場合だってあります。仕事が行き詰って、家族への責任の前で、苦悩する父親の気持ちを記述する場合だってあります。小学生が自分の体験をもとに想像して、そんな気持ちが読み取れるでしょうか?ありえませんね。大人から聞いたり、本を読んだりして、人物関係と場面との関わり合いの中で、気持ちのパターンを覚えてきたから読みとることができるのです。受験国語で「気持ちを学ぶ」とは、人物関係と場面との関わり合いの中で、多くの場合に当てはまる気持ちの「型」を覚えていく作業だ。ここからスタートすると、物語文の理解はぐっと簡単になります。さて次回はさらに進めて、物語は最初を読めば、その後のストーリー展開がだいたい分かる。というお話をさせていただきます。お楽しみに!・出典:http://ss1ogawa.exblog.jp/19278875/・EduKidsブレーンご紹介:http://edukids.rvlvr.co/wf/contents/16779602