小川先生の大好評連載、「国語の学習で絶対に欠かせないこと」シリーズ第14回。今回は選択肢問題の攻略法です。*************************************************本日は、選択肢問題について考えてみましょう。皆さんは、国語で最も点差がつく問題は何だと思いますか?気持ちの記述でしょうか?論説文の要約問題でしょうか?いずれも苦手な人は多いですね。でも、テストにおいて致命的な点差がつくのは、実は物語の選択肢問題なのです。お母さん、お父さんにとっては、「選択肢問題なんて簡単なんじゃないの?」と意外かもしれませんね。子どもたちも同じように思っています。「選択肢問題は選ぶだけだから、簡単♪」でも小5の10月ぐらいから、物語文の選択肢問題を確実に正解させられる子と、テストによって出来たり出来なかったりする子の差が、どんどん開いていきます。でも、「選択肢問題は選ぶだけだから、簡単♪」と思っているので、適切な対処を取る子はほとんどいません。せいぜい、「テスト中の集中が足りなかった」とか「今度はもっと真面目に読もう」といった反省をする程度です。この反省の仕方では、点数は上がりません。必要なのは、「選択肢の文の意味を正確に読み取る」という技術を身につけることだからです。文章を読むことには気持ちが入るけれど、選択肢の文の意味を正確に読み取るということについては、意識できていない子が本当に多いのです。お子さんが悪いのではありません。塾の先生と、保護者の方がそうさせたのです。選択肢問題を間違えた子に対して、周囲の大人がなんと言っているか、耳をそばだててみてください。「ちゃんと読みなさい、書いてあるでしょう」「なんでこっちを選ぶの、本文にこう書いてあるじゃない」「この場面を読んだら、やっぱりウの方に決まってるじゃない」だいたい皆さんは、「本文に何が書いてあるか」に気持ちが向かっているのですね。でも正しい導き方は、「イの選択肢の中にある『懸命に生きようとして』という表現は、本文でいうとどの場面を指しているの?」です。分かりますか?選択肢の中で使われている言葉について、その文章の中ではどんな意味になるのかを確認する。この視点が大切なのです。この本文との照らし合わせを行わず、選択肢の中の表現を自分なりに理解したつもりになるから、答えを間違ってしまうのです。たとえば物語で、体の不自由な子がこれからは人の力を借りず、自分のことは自分でやろうと決意したとします。そんな事情を知らずに、主人公の男の子が「手伝ってやるよ」とぱっとカバンを取ってスタスタ先を歩いていってしまいました。主人公は親切なつもりだったのですが、自分の力でやっていこうと決意した子にすれば、自分の気持ちを否定されたような気がして、彼はじっとうつむいてしまいました。さて、この文章に対して、選択肢の中に「主人公の思いやりのない行動によって」という表現があった場合、どう判断しますか?普通の感覚なら、カバンを持ってあげたのだから、いいことをしているようですね。ですから、「『思いやりのない行動』ってのはおかしい。×」とする子が必ずいます。でもこの文章の場合は、カバンを持ってあげることは、友達の気持ちを傷つけていますから、「思いやりのない行動」と意味づけすることは間違いではありません。他により良い選択肢がなければ、この選択肢が「正解」となります。このように、日常の感覚で読むと間違いに見える選択肢が、文章にしたがって意味を考えると正解になるということが物語ではひんぱんに起きるのです。このことに気づかず、選択肢を間違うたびに、「本文の読み方が甘かったんだ」という反省だけをしてしまうと、いつまでたっても正解率が上がらない、ということになってしまいます。同じことは、随筆でも起きやすいですね。いかがでしょうか?選択肢の表現の意味を本文に照らして確認するという作業、今までしていますか?知らなかった人は今日から心がけてみてください。きっと点数が目に見えて上がり始めますよ。******************************************************************・出典:http://ss1ogawa.exblog.jp/19367193/・EduKidsブレーンご紹介:http://edukids.rvlvr.co/wf/contents/16779602